2012年8月18日土曜日

ジュニア数学オリンピックの解説1

さて、どうだったでしょうか。

先日出した問題の答を考えていただけましたでしょうか?

まず、解答をする前に、2008人の男子と2008人の女子がプレゼント交換をするなんて、規模の大きい話ですから、もう少し考えやすい人数にして考えてみましょう。

① 男の子1人、女の子1人だった場合

これは簡単。

一回合図をしただけで、プレゼントが交換されます。

この場合の合図の最小回数は1回、最大回数も1回です。

② 男の子2人、女の子2人だった場合

男の子と女の子の並び方は下の通りになります。






この場合、男子のプレゼントが女子に渡ると輪から抜け出せるので(誰が誰にプレゼントを渡すのかを考えないので)、男子と女子を区別しないで並び方を考えて、裏返したり回転させたりして一致するものも一鳥として数えると上の2通りが考えられます。
(実際の人間が絡む場合の数の問題は人間一人一人を区別するんですよ)

並び方1の場合、一回の合図で男子と女子が隣り合っているところで、プレゼント交換が成立します。つまり1回目の合図では上の男子と下の女子の2人が抜けることになります。

残る2人は次の合図で交換が成立するので、合計で2回の合図が必要になります。

並び方2の場合、男女が互いに隣り合っているので、一回の合図でプレゼントの交換が成立します。

したがって、この場合の合図の最小回数は1回、最大回数は2回です。

③ 男の子3人、女の子3人だった場合

②と同じように並び方を考えると



になります。

並び方1のとき合図は3回必要で、並び方2の場合一回の合図で4人が抜け残る2人が次の合図で抜けるので必要な合図の回数は2回。並び方3の場合は1回の合図で交換が成立します。

したがって、この場合の合図の最小回数は1回、最大回数は3回です。

①、②、③から見えてくるのは、どうやら、合図の最大回数は2人ずつ抜けていくときで、男女の合計を2で割った回数なんじゃないかと、つまり男女が2008人ずついれば、全員が抜け出すまでの最大の合図の回数は2008回になるのではと、予想がつきます。

このように、実際に想像しにくいもの命題に対して、自分の考えやすいところから徐々に一般化していくことを私は「実験」といっていますが、この「実験」をすることで答が「見えてくる」ことはこれからざらにあります。

さて、答の想像がついただけで、これを解答と呼ぶにはあまりにも、幼稚すぎます。
というか、この先、男子と女子の数を増やしていったときに法則が崩れているものもあるかもしれません。

中学生には少し厳しいかもしれませんが、高校生以上であれば「証明」が必要です。

つまり、

合図の最大回数は2人ずつ抜けていくときで、男女の合計を2で割った回数である

ということを示さなければなりません。

これを、証明するのに数式を用いるのはナンセンスですね。

ここは1つ「背理法」というものを使って証明してみましょう。

                                                     次につづく。



2012年8月16日木曜日

お盆が明けて

今日はお盆が明けて一発目の更新です。

プラウダスではいよいよ夏期講習会が残り5日となりました。

最後の5日間頑張ってほしいですね。

というわけで、盆明け一発目の更新はジュニア数学オリンピック予選の問題から。

ジュニア数学オリンピックとは、数学好きの中学生が目指す数学の大会です。

厳しい予選を突破した中学生が本大会に挑み、知識をぶつけ合う大会です。

いつも、小学生や高校生のことばかりお話しているので、たまには中学生向けの面白い問題も紹介しないとなということです。では問題です。



2008人の男子と2008人の女子が集まってプレゼント交換をする。男子は花束を、女子はチョコレートを1つずつプレゼントとして用意する。全員で円形に並んで内側を向き、1回合図があるごとに同時にプレゼントを右隣の人に渡す。男子はチョコレートを、女子は花束を受け取ったらその時点で円から抜けることにする。
このとき、全員が円から抜け出すまでに必要な合図の回数は最大で何回であるか。


という問題です。

おそらく、最小は1回でしょう。これは男女が交互に並んでいて一回合図を鳴らしたときである。
最大は?というと・・・

無限に大きくなるわけではないのでいろいろ考えてみましょう。